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或る夏の日の思ひ出

2000年度 夏合宿

 2000年8月18日、夏合宿2日目。
 その日は、朝から伊勢原の山々には霧がかかっており、空は一日中、今にも泣き出しそうな気配。気温はTシャツ1枚では少し肌寒い程度――夏合宿としては珍しく、射撃コートが恋しくなるような日だった。
 山室OB会長が掲示板に書き込んだ呼びかけに応じた、というわけでもないだろうが、この日は金曜日にも関わらず5人ものOB・OGが訪れた。もっとも、OGの千コーチは現役生と一緒に全日程、この合宿に参加していたので、実際に「訪れた」のはOBの4人だけだが。


1年生の練習風景


 11時半頃、まず原さんと須川が到着。原さんは仕事の関係でいらっしゃったとかで、ワイシャツにネクタイでビシッと決めていた。さらに、乗ってきた車はなんと運転手付きである。ちなみに須川のほうは、天候が今一つなのにも関わらず例によってバイクで登場。建前では「雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ」というライダーの鉄則を守っているということだが、本心としては、家を出るときに雨が降っていれば出発を取りやめるつもりでいたことは内緒である。

 1年生に指導する原前総監督  

閑話休題。話を合宿の方に戻そう。原さんは到着して早々、1年生の一人が銃を構えるのを一瞬見ただけで、「チークピースを上げたほうがいい」とアドバイス。流石は現役射手にして前総監督である。仕事できた関係で、すぐにお帰りになられてしまったのが非常に惜しまれる。


 原さんがお帰りになってすぐ、OBの湯川氏と佐藤氏が到着。両氏が来たところでちょうど腹時計が12時の鐘を打ち、昼食の時間に突入したのであった。

お弁当がなく手持ち無沙汰のOB達 OG・千コーチは現役生と一緒のお弁当をしっかり確保 車座になって弁当を食べる現役生たち

 一同、射撃場の駐車場に車座になって昼食。といっても、食事を持っているのは宿に泊まっていた4人だけなので、OB3名はスナック菓子をつまみながら談笑に加わる。ちなみにこの日のお弁当は、白飯にトンカツに焼きそば。「今日はご飯を食べるものがないね」「トンカツがあるじゃないですか」「えっ、トンカツではご飯は食べないよ」「うちでは焼きそばでもご飯を食べますよ」などと和やかな会話が続く。しかし、「幹部交代ってどうするの?」などと核心を突いた質問をすると、一瞬全員が凍りつくことも。表面は和やかでも、必ずしもすべてがうまくいっているわけではない青学射撃部の現状が窺える。


残ったご飯を… 飼い主には内緒であげると… ワンちゃんも大満足。


 こうして楽しいひと時(?)を過ごしていると、犬を連れた夫婦らしき二人連れが駐車場に入ってきた。二人は犬を木につないでそのまま射撃場へ。それを見た千コーチはお弁当を持って犬に近づき、ご飯を差し出す。犬は思いがけぬ贈り物に非常に嬉しそうだった。が、千コーチが去ったとたん、「もっとくれ〜」とでも言いたげに切ない泣き声をあげる。仕方がないので千コーチはトンカツを一切れやる羽目になった。
 なお、他人の飼い犬に勝手に餌をやるのは犬のしつけ上よろしくないので、良い子はまねをしないように願いたい。


 

森主将:下方着弾に悩む 西久保君:銃がどうしても標的の上に行ってしまう 内野君:銃が身体から遠いよ

千さん:コーチの貫禄たっぷりに半分寝ながらPを撃つ

 さて、合宿といえば練習である。練習に関しては、みんなそれぞれ悩みながらも頑張っていた、というところであろうか。1年生はまだフォームが固まっていない。まだ入部して4ヶ月ということを考えれば仕方のないことだろうが、彼らをフォローしてあげられるだけの十分な数の指導者がいないのは残念なことだ。


片腕と片足で体を支えるトレーニング 腹筋を鍛えるため足を上げる

 練習が終わった5時、厳しいトレーニングが始まった。内容は筋トレ中心のようだが、激しい運動ではない割にきつそうだった。須川が現役の頃には、トレーニングと称してソフトボールをやっていた。今と比べれば厳しさに雲泥の差がある。


エールを切る、怒鳴る、がなる 遠すぎて見えません
 この日は厳しいトレーニングの後に、1年生にはもう一つ厳しいイベントが控えていた。夏合宿恒例のエール練習である。1年生はそれぞれ、右の写真の遥か彼方、デジタル・ズームを使ってもぼやけてしまうような遠くにいる上級生に聞こえるように、大声を張り上げてエールを切らなければならない。しかしながら、流石に根性の入った射撃部の若人だけあって声量は十分のようであった。途中、文言を間違えてやり直しさせられる場面はあったものの、「声が小さい」とは一度も言われなかったのは大したものである。今後の成長が楽しみだ(?)

(文・写真:須川裕棋=OB5年目)

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